107.足場屋さんの醍醐味
2021年04月26日
敷地も物件も近隣も駐車スペースも全てにおいて難しい現場だった。。
現場を終えて家につくと、心地よい疲れとともに、
もう10年来の愛しい若い衆とあーだこーだ言いながら一緒に仕事をできる喜びをしみじみと噛みしめるのだった。
我々は、他社に応援稼業も行くからこそ、
自社仕事の尊さ、豊かさ、有り難さ、楽しさ、自由さを請負一本でやっている足場屋さんよりも強く強く感じられる。
応援稼業は、やはり所詮常用単価というものがあるし、
その応援先の色に染まってこそ実を成す訳ですが、
自社案件は、頑張れば頑張る程、もたらされる恵みに制限はなく、
その手のハンマーを降れば降る程、目の前には稲妻宣言というブランディングと伝説が築かれてゆく。
根がらみを走る職長のすぐ後ろを俺に任せろと言わんばかりの顔でサブが足場を立ち上げてくる。
またそのすぐ後を、しっかり者がカチっカチっと足場繋ぎや噛ましで固定して足場を決めてくる。
少しでも手の余ってる人間は、常に次の事を予測しながらやることを自分で見つけてはマグロのように足を停める事なく足場材をセットし間配っていく。
そして訪れる和やかな休憩時間。
最近はタバコも現場じゃ吸えない事が多い中、
施主さんが空き部屋を休憩室に提供してくれたお陰でゆっくりゆったりと質の良い休憩がとれる。
毎日現場が違う足場屋稼業では、
トイレすらない現場が当たり前。
せかせか隠れてたばこをふかす、そんなチープな休憩に良い仕事は産まれない。
安心して座れて、安心してたばこを吸うスペースが確保されていて、初めておおらかな雰囲気の中、メンバー内の会話が弾み始める。
現場ムードの良い日は、不思議と難しい現場すらスムーズに終わる。
結果施主さんも段取りが良いと喜んでくれた。
いやいやそれは貴方良い施主さんの配慮、良い休憩場所、
良いムードがあってこそ。。
良い仕事が完成するのだ。
そんな日だった。
そしてやはり思うのだ。
あたかも格上かのような存在感を示す頭脳労働者や権利収入者やなんかじゃ決して味わえない、
とゆーかそんなリッチ、チープを蹴飛ばした所にある醍醐味が
この足場屋さん稼業にはあるなと。。
ステイタスも稼ぎも疲労も比べるのではなく、
今自分がこの仕事を愛する仲間たちとできることをよくよく味わう。
そして感謝する。
そうすることで初めて、
生きる醍醐味までも感じられるようになる。
今で、充分しあわせ、お前らと仕事ができれば。
「足場屋の醍醐味ここにあり」