稲妻宣言ブログ

73.風の噂

 2020年11月02日

 

足場の請負は大体2人1組で、

 


戸建てを1日で、

 


架けてから移動してバラシて2棟まわるのが当たり前だと認知されて来たが、

 


昨今の足場屋の乱立と価格破壊で、

 


2人1組で大変だけど頑張れば稼げたその時代すらも終わると、

 


ただただ、我々職人のみが泣きをみる足場屋暗黒時代となった。

 


その漆黒に優秀な足場屋達は泣く泣く出し惜しみ、腕を落とし、自尊心も失っていった。

 


毎日同じパートナーと金の為だけに繋がった状態で、

 


稼ぐ為だけにやっている足場屋で、

 


稼げない状態で仕事をしているって、本当に殺伐としていてつまらないんです。

 


そんな暗黒時代で沢山の期待の若人達が潰れていってしまうのを目の当たりにして、

 

対策として最近の足場屋経営陣は、

 

日本人の半分の単価で使えるベトナム人をふたり使って3人で架けバラをするようになったり、

 

1棟目ふたり、2棟目他班と合流して協力プレイでこなしていくような形をとるようになった。

 

 

そんな中でもとある会社のイケイケ職長がたった1人で

 

架けバラシをしているという「風の噂」を聞いて、

 


なんと逞しい若手職長なんだろうと感激したものだった。

 

 


数年が経ち。。

 

 


そのイケイケ職長が体調を崩し、そのまんま復帰もせずに

足場業界から人知れず去ったという話をまた「風の噂」で聞いた。。

 

 

やっぱり男の身体は消耗品なんだなと再確認した。

 

 


使えば減ってしまうんです。

 


見えないから、若いから大丈夫。

 


無限だろうと無理させても、

 


やる男はやりきってしまうし、どんな手段を使ってでも終わらせて来てしまう。

 

 

だが、使っている側はそこに甘えてはいけないのだ!

 

イケるかと聞けば、必ず「大丈夫」と答える彼の言葉の裏側をきちんと読み取ってあげなくてはいけない。

 


精も根も尽き果てる前に。

 

 


風神かのように仕事を終わらせてしまう彼の特攻姿、

 

しなやかに鍛え上げられた美しいボディに、体全体のバネで凛々しく飛び跳ねるように

弾んで颯爽と歩く彼の姿はもう見れないのだ。

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